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裁量トレードは、リアルタイムでチャートやニュースなどの情報を観察し、知識や経験をもとに人間が売買を判断します。
一方、クオンツトレードでは、市場をデータセットとして収集し、確率・統計現象 として扱います。知識や経験はリアルタイムの判断には使わず、事前のモデル構築と事後のモデル改善に使います。
以下では、裁量トレードと比較しながら、この考え方を整理します。
裁量トレードとクオンツトレードの比較
| 比較項目 | 一般的な裁量トレード | クオンツトレード |
|---|---|---|
| 市場の捉え方 | リアルタイムで相場を観察・判断する | 市場をデータのまとまり、確率・統計現象として扱う |
| トレードスタイル | 個々一回きりの値動きやプライスアクションに反応する | 個々一回きりの値動きには反応せず、統計的優位性に基づいて売買する |
| データの扱い | その場その場の情報として利用する | 一定期間のデータセットとして収集・集計・分析する |
| 判断根拠 | チャートパターン、ニュース、経験、相場観、情報からの連想などを組み合わせて判断する | 特徴量とモデルに基づいて判断する |
| 判断の検証 | 人間の連想や感覚を含むため、判断根拠を完全に集計・検証することが難しい | すべての判断を数値化・記録でき、集計・検証・改善できる |
| 分析・評価 | 売買中に判断・修正する | 一定期間終了後に市場データとトレード結果を評価する |
| 売買の執行 | 人が執行する | 機械・システムが執行する |
| チャート監視 | 必要 | 行わない |
| ニュース・経済指標 | 判断材料として利用する | リアルタイム判断には利用しない |
| 人間特有の介入 | 利確の遅れ、早すぎる利確、損切りのためらい、ルール逸脱、判断のブレ、取り返しトレード、ナンピン、急な値動きへの反応エントリーなどが起こり得る。これらは統計的優位性を崩す要因となる。 | モデルどおりに執行するため、人間の介入によって統計的優位性を崩さない。 |
| 改善方法 | 経験や相場観をもとに判断基準を修正する | データを追加し、モデルを再学習・再評価・更新する |
| 運用対象 | 相場そのもの | モデル・トレードシステム |
なぜチャートやニュースを見ないのか
リアルタイムで人間が介入すると、
- 利確を早める
- 損切りをためらう
- 負けを取り返そうとして予定外のトレードをする
- 含み損を救うためにナンピンする
- 急騰・急落に反応して飛び乗る
- ルールを変更する
- 相場の雰囲気に流される
といった判断が入り込みます。
裁量トレードを経験したことがある方なら、思い当たるものもあるのではないでしょうか。もちろん、私自身も例外ではありませんでした(意味深)。
これらは、バックテストで確認した統計的優位性を崩す原因になります。
また、個々のニュースや経済指標による価格変動やボラティリティを理由に、リアルタイムでモデルを変更することもしません。
モデルは、一回限りの出来事に対応するためではなく、多数の市場データから統計的な傾向を学習し、十分な検証を経て構築したものです。
だからこそ、リアルタイムでは人間が判断するのではなく、モデルどおりに機械・システムが売買を執行します。
知識と経験は事前と事後に使う
私が実践しているクオンツ運用では、知識や経験をその場の判断には使いません。
- 事前:市場データを分析し、特徴量を設計してモデルを構築する。
- リアルタイム:モデルどおりに機械・システムが執行する。
- 事後:市場データとトレード結果を評価し、モデルを改善する。
つまり、知識や経験は、その場の判断のためではなく、事前にモデルへ込め、事後にモデルを改善するために使います。
私にとってクオンツトレードとは、リアルタイムで相場を判断することではなく、事前に構築したモデルを淡々と運用する ことです。
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