ドル円予測モデルで本当に解きたい問題
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機械学習では、モデルやアルゴリズムを工夫すること以上に、「何を学習させるのか」 という問題設定が重要です。
ドル円予測モデルで解きたいのは、「30分後に上がるか」「1時間後に下がるか」といった単純な方向予測ではありません。
目指しているのは、未来でも繰り返し現れる、高期待値な相場パターンを見つけることです。
そのため、学習対象となるパターンには次の3つの条件があります。
- 繰り返し現れること(未来でも再現される)
- 期待値が高いこと(平均獲得Pipsがプラスに偏る)
- 特徴量に共通性があること(現在の特徴量から識別できる)
逆に、
- 一度しか現れないパターン
- 偶然利益になっただけのパターン
- 特徴量に共通性のないパターン
は未来では再現されにくく、学習すると過学習の原因になります。
つまり、ニューラルネットワークが学習すべきなのは「未来でも繰り返し現れるわずかなエッジ」であり、それ以外はノイズとして扱うべきだと考えています。
また、予測できない部分は必ず残ります。その不確実性は、損切り(SL)や偶然の利確(TP)として受け入れることも重要です。
相場のエッジは非常に薄い
相場では、さまざまな見立てによる売りと買いが常に交錯しています。そのため、誰でも勝てるような必勝パターンは存在せず、見つかるとしても、ごくわずかなエッジにとどまります。
仮にエッジが存在するとしても、多くは「50%より少しだけ有利」という程度でしょう。
さらに、1回ごとのトレード結果には大きなランダム性が含まれます。同じシグナルでも連敗することもあれば、逆に連勝することもあります。
そのため、モデルを評価する際には1回1回の勝敗ではなく、十分な試行回数を重ねたときの平均(期待値) を見る必要があります。
つまり、トレード結果は
ランダムな要素 + モデルが捉えたエッジ
として現れます。
この平均がわずかでもプラスへ偏るのであれば、それがモデルの持つエッジだと考えています。
アプローチの違い
高期待値なパターンを見つける方法には、大きく分けて2つの考え方があります。
アプローチA:仮説駆動型(Hypothesis-driven)
市場構造について仮説を立て、その仮説を学習させる方法です。
例えば、
ロンドン市場では情報伝播に遅れがある
↓
だから5分先にはエッジがあるはず
↓
その条件をニューラルネットワークで学習する
という考え方です。
この方法では、モデルは人間が考えた仮説を検証する役割を担います。
アプローチB:データ駆動型(Data-driven)
この現行モデルでは、こちらの考え方を採っています。
市場構造をあらかじめ仮定するのではなく、
市場は未知の関数であり、その条件付き期待値をニューラルネットワークで直接近似する
という立場です。
つまり、
何が効くかは分からない
↓
十分な過去データを与える
↓
ニューラルネットワークが期待値を学習する
というアプローチです。
人間が事前に「移動平均が効く」「時間帯が重要」と決めつけるのではなく、73個の特徴量の組み合わせから、未来でも繰り返し現れるパターンをデータ自身に見つけてもらいます。
事前に決めない、先入観を使わない、思惑を使わない という戦略です。
ニューラルネットワークで学習したいもの
ニューラルネットワークは、数学的には特徴量 x に対する条件付き期待値 E[y|x] を近似するモデルです。
言い換えれば、似た特徴量を持つ過去の相場を統計的に集約し、その局面で期待される平均的な結果(Expected Pips)を推定していると考えられます。
現行モデルでは、次の3つを同時に満たす相場パターンを学習対象としています。
- 繰り返し現れること
- 期待値が高いこと
- 73個の特徴量で識別できること
ニューラルネットワークは73個の特徴量を非線形に組み合わせることで、「移動平均がこうだから買い」といった単純なルールでは表現できない複雑な相場パターンを近似できます。
最終的な目的は、未知の相場でも繰り返し現れる、わずかなエッジを持つパターンを機械的に発見することです。
方向予測そのものではなく、条件付き期待値を通じて再現性のあるエッジを見つけることが、このドル円予測モデルで本当に解きたい問題です。